恐竜絶滅〜哺乳類が目を進化させ心を持つ

進化

人類の進化と姿勢

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恐竜絶滅〜哺乳類が目を進化させ心を持つ

松乃わなり

前号のおさらい

お腹にまであって肋骨を取り去り腹式呼吸を手に入れた我らがご先祖様。

お腹に骨がなくなる事でお腹は膨らむ事ができるようになり、これがお腹で子どもを妊娠し育てる事に進化し、哺乳類に進化のきっかけでした。

そして時は過ぎ、恐竜が地球上を支配するようになり、やがて恐竜も絶滅してしまいます。そこから私たちはスゴイ進化の道を歩みだします。

松乃わなり

整体師、通わせないセルフケアを24年。ジャングルと砂漠を950km走破した冒険家。著書11冊>プロフィール

このページの要点

恐竜絶滅の前に誕生した最古の霊長類

6,500万年前 12月26日3時16分ごろ

(日付は地球誕生から現在までの年齢46億年を1年に換算した目安です)

最古の霊長類(猿や人)はブルガトリウスと言ってネズミのような外見ですが骨格は猿に近いそうです。

このお猿さんはその後に起こる巨大隕石の衝突による恐竜絶滅の時代を生き延びました。そして進化し私たちにつながるのです。凄いね!

出典、NATIONAL GEOGRAPHIC

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恐竜絶滅

6,550万年前 12月26日20時17分ごろ

直径約10〜15キロメートルの小惑星がメキシコユカタン半島に衝突したことで絶滅したとの説が最も有力です。(チクシュルーブ・クレーター)

物を握れるようになった

5,500万年前 12月27日16時44分ごろ

親指の位置が変化し枝や木の実を握れる(物を握れる)ように進化したのがカルポレステスです。果実を食べる人という意味らしい。

これがやがて道具を握る事につながるのですね。

カルポレステス

カルポレステスは森の中を夜行性で活動し紅葉樹にはえる果実を中心に食べていたそうです。夜行性のために目が大きく可愛かったのかも。

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出典>NHKスペシャル,地球大進化5

木の実を上手に掴んで食べています。猫の手は引っ掛ける事は出来ますが物を掴むことは出来ません。

親指の位置を変えて物を掴めるようになったことは手先が器用になる始まりでしょうか。

木の上で生活、地上に降りる必要があった

カルポレステスが木の実を食べていた紅葉樹はまだ進化の途中なのか枝振りも少なかったそうです。

そのために紅葉樹にはえる木の実を食べ尽くすと別の紅葉樹に移動するために、いったん地上に降りる必要がありました。

しかし!地上にはディアトリマ(恐鳥類)などの天敵がいるためにとても危険だったのです。

ディアトリマ(恐鳥類)は体高2メートル、体重200〜500kgで恐竜絶滅後の陸上生態系の頂点に君臨。我らがご先祖様のカレポレステスは全長15cmほど。

ディアトリマにとって私たちは、おつまみ程度だったかも知れませんね。

進化

Tim Bertelink

立体視を獲得

4,400万年前 12月28日13時47分ごろ

木から木へと飛び移るために目が正面に移動し、遠近感を獲得したのが我らが祖先様のショショニアス。

立体視を獲得

5,500万年前に大陸大分裂によりヨーロッパとグリーンランドは引き裂かれました。

高音のマグマによってメタンハイドレード(メタンガスが低温高圧で氷状になったもの)が大爆発。

強烈な温室効果であるメタンによって地球の平均気温を10〜20度も引き上げてしまった。(メタンガスは二酸化炭素の20倍超もの温室効果があるそうで怖い存在ですね)

温暖化は500万年の間も続き地球環境を一転させ、貧弱な紅葉樹を巨木に急成長させました。

紅葉樹は枝を横方向に張り出すために隣の木と重なり合い(樹冠)木から木へと飛び移る事ができるようになった。

天敵の多い地上に降りる事なく、紅葉樹にはえる木の実を食べて安全に暮らせるようになったのです。

遠くの木に確実にジャンプするための距離感を測る。目が正面に移動し、遠近感を獲得

これが立体視につながったのでしょう。距離感間違えて地上に落っこちたら命の危険もあったでしょうから。

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さらに目が進化する

3,300万年前 12月29日10時50分ごろ

急速な地球寒冷化で森林が少なくなり果実も少なくなり、確実に食べ物を見据えるために目が進化しました。さらに食べても安全かを見定めるために三色色覚も獲得したそうです。

目の進化

大陸の移動で南極大陸が出現、南極大陸をぐるりと取り巻く周極流という海流によって赤道からの暖流を遮り、南極は氷つき地球全体を冷やし始めました。

これによって気温は30度も低下。世界中に広がっていた紅葉樹の森は急速に減少していったのです。

揺れにくい目に進化

苦労は人を育てると言いますか乏しい食糧を確実にゲットするために、我らがご先祖様はさらに目を進化させました。眼窩後壁を持つカトピテクスです。

シカゴ大学キャラム,ロス博士によると、目の奥にある頭蓋骨の窪み、眼窩後壁で揺れやすい眼球を支えたそうです。

眼窩後壁とは文字通り目の窪みの奥にある頭蓋骨の壁です。この壁が眼球をしっかりと支えてくれるのでハッキリと見る事が出来たとか。

さらに、咀嚼筋と眼球の動きをを分けることで、咀嚼のたびに視界が揺れることも防いだ。

これらのおかげでクリアで高い視力につながったそうです。

さらに目の進化は続き、三色色覚(赤を見分ける視細胞)を獲得することによって葉っぱを食べられるようにしました。

地球寒冷化で木の実も少なくなっていたのでしょう。赤い若葉は消化も簡単で毒素も少ない。緑の成長した葉とを見分けることができたのです。

私たちがサラダを食べるようになったのはカトピテクスのおかげかも。

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表情が豊かになり心が生まれた

3,000万年前 12月29日15時7分ごろ?

上の写真、外見はもうお猿さんですよね。そしてついに我らがご先祖様はやりました! 

高い視力はお顔の表情を豊かにしコミュニケーションへとつながったのだ。

表情と心

これまでを振り返ると我らがご先祖様はたった一人で様々な困難に立ち向かってきました。

恐竜が絶滅するような大量絶滅も生き延びてきました。このとき我らがご先祖様には表情はほとんどありませんでした。

やがて地球が温暖化し紅葉樹が進化、樹冠と呼ばれる木の枝が密集した環境で繁栄を築きます。

高い視力を持つ猿の中で真猿類と呼ばれている猿の仲間はお互いのお顔を見つめあったのでしょうか?表情を持つ事が出来たのです。

ちなみに現在でも表情豊かな生き物はゴリラやチンパンジーなどの真猿類だけで、最初の真猿は約3,000万年前に登場したネクロレムールという種とか。

そしてついに、お顔の表情はコミュニケーションにつながり仲間との信頼が生まれたのです。

心の誕生です。

人間は白目があります。野生の生き物には白目はありません。

弱肉強食の世界では白目があると黒目の向きでどこを見ているかが分かるので戦いに不利なのです。

しかし人間は心を持つようになり争いを避ける工夫をしました。白目があることで「あなたを見ている。」と表現出来るようになったのです。

気持ちを伝えたい相手をしっかり見て、より深いコミュニケーションをとるようになったのです。

進化

目の進化、表情、そして心の誕生。

さあ我らがご先祖様は、チームワークの力でどんどん進化していくのです。

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