コラーゲン誕生物語

コラーゲン

コラーゲン誕生物語

ニューヨーク。セントラルパーク

通称「迷子石」と呼ばれる巨大な石が転がっています。

この石はその地域に石とは、違う成分でできた石です。

まるで誰かが遠くから運んできたかのような違う石。その石の正体は、氷河に乗ってやってきた石なのです。

つまりニューヨークは大昔、氷河に覆われていた証拠なのです。

アフリカ、ナミビア。赤道付近の砂漠

ここにも6億年前に運ばれてきた石があります。ニューヨークのセントラルパークにある迷子石と同じです。

6億年前、赤道付近も氷河で覆われていた


カルフォルニア工科大学のJ.カーシュビンク博士は、地球全体が氷に覆われていたとの仮説をだします。

ハーバード大学のポールホフマン教授も、地球全体が厚さ千メートルの氷で覆われマイナス50度の世界だったと語っています。

地球全体が厚さ千メートルの氷で覆われた。食物連鎖も途絶えます。

海も水深1千メートルまで氷です。

氷の下は海が残っていましたが、太陽の光は届かず光合成を行う植物プランクトンや海藻は生きられません。

こうやって地球は、数百万年も氷に閉されたと考えられています。全球凍結と言われています。

全球凍結は植物の光合成を停止させ、食物連鎖を破壊してしまいました。

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なぜ地球は凍りついた?

6億年前、全球凍結が起きる前の地球です。

陸地には植物も動物もいません。

海には3種類の微生物がいました。

1.私たちの祖先

動物プランクトンに似た微生物だと考えれています。

2.光合成生物。

太陽の光を利用し酸素と栄養分を作り出します。私たちの祖先はこれを食べていたそうです。

3.メタンガスを作り出すメタン菌。

メタンガスは二酸化炭素の20倍の温室効果があり地球を暖かく保っていました。

これら3つの微生物は、良い関係を保っていました。

しかし三角関係のもつれが始まります。

2の光合成生物が出した酸素が、3のメタンガスを減らし地球全体を冷やしていく。

そして地球は全球凍結へと進みます。

一生懸命に生きていた光合成生物が頑張りすぎたのか?メタンガスを減らしてしまい全球凍結へと進んでしまったのです。

なにごともほどほどに。腹八分目でやめとけと、タイムマシンがあれば行って忠告してやりたいほどです。

しかし地球には、まだ凍りついてない部分がありました。

海底火山の噴火口付近です。

そこは生物の避難所であり、様々な微生物が温泉の熱を利用してひっそりと暮らし生き延びていました。

地球を覆っていた氷が溶け出す

地球が凍りついても火山活動は続いています。火山から噴き出す二酸化炭素は温室効果があります。

現在の地球でも、火山や動物達は二酸化炭素を吐き出していますが、二酸化炭素は海に溶けて、一定の濃度を保っています。

しかし、当時の地球は氷で覆われています。二酸化炭素は海に溶けることも出来ずにいます。

二酸化炭素はどんどん大気中に溜まり続け、現在の300倍に達した時、二酸化炭素の温室効果によって、地球を覆っていた氷は溶け始めます。

全球凍結、終わりの始まりです。

酸素が増えはじめる

もともと地球には酸素はなかったのです。

やがて光合成生物が生まれ酸素が出来始めましたが、酸素を使う生物もいたため、地球の酸素濃度はあまり増えませんでした。

そのため、全球凍結以前の地球の酸素濃度は、現在の1/20程だと考えられています。

しかし全球凍結で酸素を吸う生物が絶滅してしまったため、酸素が使われずに増えていったと考えられています。

二酸化炭素も増えはじめる

温室効果がある二酸化炭素は、地球の温度をマイナス50度からプラス50度に上げます。

海面は蒸発し大量の水蒸気が地球を覆う。これが巨大ハリケーン(台風)を引き起こします。中心気圧300ヘクトパスカル。ハイパーハリケーンです。

私ごとですが、大きな台風が僕が住む葉山を直撃したとき気圧計は968ヘクトパスカルにまで下がりました。

気圧

ハイパーハリケーンの300ヘクトパスカル。その威力は想像をはるかに超えます。

最大風速300メートル以上。高さ100メートルの波が立ち、この波はアメリカ、フロリダ半島を覆い尽くすほどの規模です。

海の底には海底温泉から噴出した栄養分が溜まっていました。全球凍結で生物が絶滅したために、栄養分が消費されず溜まり続けていたのです。

栄養分をハイパーハリケーンが激しくかき混ぜます。

栄養分は浅い海にまで持ち上げられます。

栄養たっぷりの海に太陽の光が降り注ぎます。

バクテリア生物は爆発的に増え始めます。

盛んに光合成を行い大量の酸素を吐き出します。

光合成生物が海を豊かな海に変えていきます。

そしてついに、酸素あふれる地球になったのです。

酸素をたっぷりと吸って高いエネルギーを利用し、コラーゲンを作り始めます。

コラーゲンは大量の酸素があって初めて作れる物質。体に張りをもたらします。

やがてその張りは、背中に一筋の線を作ります。脊椎(背骨)の原型と言われています。

目の原型も出来始めます。網膜はコラーゲン繊維が規則正しく並んでいるのです。

骨もコラーゲンの塊にカルシウムなどが付着したものです。

血管の管もコラーゲン。

皮膚も70%はコラーゲン。肌にコラーゲンが良いのは皮膚の成分そのものだからです。

こうやって生物は高度な進化へと進み出したのです。

マイナスと思える事も長い目でみたらプラスに転じる。6億年かけて教えてくれる壮大な物語ですね。

参考、NHK 地球大進化